相続人Aの成年後見人として、相続人ABC間で遺産分割協議を行い、協議成立。
被相続人Xには自筆証書遺言があるが、受遺者Dは既に死亡しており、遺言執行の前提としては機能せず、遺産分割による整理となった。
対象不動産の甲土地・甲建物は、XとAが各2分の1で共有。
複数の利害関係が絡む中、税理士と協議し、家裁へ事前報告のうえ、最終的に以下の構成とした。
甲土地:Aが相続取得
甲建物:A持分をBへ贈与した上で、X持分はBが相続取得
結果として甲建物はB単独名義とする設計。
Bが居住している事情もあり、本来は昨年度中に整理したかったが、時間的制約から先行して甲建物のA持分のみ贈与登記を実行済み。
その後、複数件の相続登記を処理し、最後に当該自宅案件へ戻る。
ここで改めて整理すると、登記申請の構造は次のとおり。
甲土地:成年後見人としてAの相続登記
甲建物:司法書士としてBへの相続登記
同一人物が「成年後見人」と「司法書士」という異なる資格で申請する構造になる。
当初はオンライン申請において、
先行申請と後行申請を連件扱いとする旨を申請書上で相互参照させる方法
を考えたが、この方法は採用できないようだ。
実務的にはシンプルで、
申請書を2件作成
1件目:成年後見人として電子署名
2件目:司法書士として電子署名
そのまま連件申請
これで足りるということらしい。
さらに、場合によっては1件目に両資格で電子署名を付す運用も可能とのこと。
結論として、連件処理を過剰に構成する必要はなく、通常どおり2申請で処理すれば足りる。
問題なのは、Bから報酬を受け取るかどうかなんだよね。
弁護士が東京家裁へ照会した事例を、弁護士会文書で読んだことがあるけど、東京家裁からは「貴職の判断で」とお決まりフレーズが返ってきていたようだ。
こういうケースは実務上よくあることで、
実際数年前に、立川支部へ、この弁護士会文書を付けた上、名義や財産を取得する相続人から報酬もらっていいの?と照会したところ、
やはり「貴職の判断で」との回答だった。
司法書士の八王子支部会議で、その件を議題に上げこともあったが、
問題ないとする者もいれば、問題有りとする者もいた。
結局のところ、個々の司法書士の判断によるわけだが。
このケースでは、そもそも相続人Bとの関係が円満とは言い難い中、遺産分割協議を成立させたという経緯がある。
そこで今さら「Bさん名義にする相続登記をするので、別途報酬をお願いします」と言った結果、せっかく収まった話が再燃する可能性もある。
かといって、Aの財産からその分の報酬が加算される見込みも、薄い。
要するにタダ働きである。
もっとも、成年後見人として関与する案件では、こういうこともよくある。
今回は余計な火種を作らないことを優先し、そのまま申請することにした。
成年後見の実務は、書類仕事以上に人間関係の調整業である。